基本、面白かったものだけ感想書いてます。
それにしても感想よりあらすじ書く方が難しいなんて知らなかった。勉強になるな・・・。
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体がガラスの様に硬質化してしまうクロージャー・ウィルスの大流行によって人類が危機に瀕した世界。外界と隔絶したバイオスフィアで育った、少年エノア(エンノイア)と少女ハナはウィルスに対する抗体を持っていた。
人類は人口の15%を失うも生き残った。が、時は進んで、クロージャー・ウィルスの変種ディスクロージャー・ウィルス(体が液状化して無機物・有機物関係無く取り込んでしまう)が流行し、それらの集合がコロイドという水晶状の物質になって世界中に広がっていった。コロイドは太陽光で発電し、水晶を媒体とした光記憶メディアに多くの人の意識を保存した。最終的にコロイドはバイオスフィアのあった島の上にビッグバレルと呼ばれる筒状の構造物を形成する。
全ての出来事はエノアの父クリスも創立に関わった、プロジェクト「プレーローマ」のシナリオだった。何処からか飛来した高重力バルブと呼ばれる物体がビッグバレル上空に近づく中、エノアは仲間と共にビッグバレルを目指す。
・・・って17冊を強引にまとめすぎかな?
元々、第一話だけの企画だったそうで、それを連載に変更して11年もやって最後ちゃんと綺麗に終わってます。(18巻の表紙が1巻の表紙と対称になってるんですな)
最後まで見てみれば、大半を占めてたエリア(エノアの息子)が主人公の話は何の意味があったのかとか、最終回に向けてなんでああいう展開になるのかとか、一見イミフですが、ウィキペディアのグノーシス主義の項を見ればすっきりわかります。というかグノーシス主義をそのまんまSF的解釈すればこの話になるんですな。
超おおざっぱに言うと、グノーシス主義とは、
「人間が辛いのは、この宇宙が狂った神の作った悪の宇宙だからであり、真の神の住む善の宇宙を目指そう」
という反宇宙的二元論に支えられた古代宗教です。真の神というのが、プロパトールやらエンノイアやらアレーテイアであり、善の宇宙というのがプレーローマということらしいです。
エリアが延々とひたすら味わう世界の無慈悲さ、汚さ、身も蓋も無さは正に悪の宇宙論ですし、物質と対照的な単なるデータ(霊的な存在)になって新しい宇宙に打ち出されるというのもそのまんまです。
しかし、物語のラストでは新しい宇宙に行く人と、相変わらず狂った世界に残る人の両方の選択を肯定していて、二元論を否定しています。
作者は途中で何を書きたいのかわからなくなって困ったと言ってますが、第一話がすごく面白かっただけに、投げっぱなしにならず、良い題材が途中で見つかって綺麗にまとめられて良かったなあと思います。
マイナーな宗教や思想や実際の事件をテーマにするってのはネタに困ったらいいかもしれないッスね。(といったら怒られるかな)
ともかくウィキペディアは面白いということで・・・。。