まつもと ゆきひろ 萩原 正義 高林 哲 羽生田 栄一 八田 真行 日経バイト
日経BP社 (2004/10)
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ソフトウェア、「知」の最前線
ある程度、知識のある人向けです
日経バイト誌連載からソフトウェア関連の専門家のコラムをまとめたもの。
高林哲の検索技術論をWebで読んで面白かったので他のも面白かろうということで買った。まだ読み途中だけど羽生田栄一さんのオブジェクト論、デザイン・パターン論が面白い。
しかし手続きだけでは、業務で利用するデータ構造や業務フローといった大局的なモジュールを管理したり業務知識を再利用するのは難しいのです。そこで、関連するデータ構造と業務ロジックをまとめてパッケージにして、それをソフトウェアの単位にしようという言語が登場しました(モジュール指向言語、抽象データ型言語:Modula-2、Adaなど)。これは日本では普及しませんでしたが、その正当な進化系としてオブジェクト指向がようやく近年活状を呈してきたところです。
「関数からクラスって発想飛びすぎ」と疑問に思ってたんだけど間には「関数とデータを一まとまりにしよう」という言語があったそうです。
そしてオブジェクト指向の説明が簡潔で良かった。
オブジェクト指向の凄いところはこの先にあります。小行列化して管理対象にしたクラスを「ソフトウェア・モジュール」であると同時に「型(タイプ)」でもあり、問題領域のモデルを構成する「概念(コンセプト)」でもある、としたのです。少々の齟齬には目をつぶって、「クラス=モジュール=型=概念」の方程式が成り立つと宣言してしまったのです。
コレこそオブジェクト指向のソフトウェア世界における成功を約束したものです。モジュールであるから、ソフトウェア工学の基本的対象としての地位を確保できます。またデータ型なので、古典的なプログラミング言語の中でも位置付けが可能です。なおかつ概念クラスとしてモデルで位置付けられるので、開発の上流におけるビジネス・モデリングや要求分析にまで触手を伸ばせるようになったのです。
「クラス=モジュール=型=概念」は分かり易かった。
また、デザイン・パターン論ではパターンはオブジェクト指向の弱点である「複数オブジェクトの振る舞いの定式化を補うもの」であって「複数オブジェクトがかかわる任意の観点」を扱うアスペクト指向などの範疇に片足突っ込んでいると。
今まで(アスペクト指向は)実装上の技術として便利なんだろうなあぐらいしか思ってなかったのでなるほどと思った。